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プリントのお話 〜解像度の難しいお話を簡単に

こんにちは。

今日も多くのテキスタイルプリントをご利用いただいています。しかし、プリントをオーダするにもデータの作成において解像度やCMYKといったプリントの基本的なことを知らない方も多く、今回からブログでその基礎知識を紹介していこうと思っています。今回は解像度についてです。あまり詳しくなくとも「解像度は数字が大きければ綺麗」と考えている方も多いのではないでしょうか。しかし本当にそうでしょうか。

実際には解像度が高すぎることでさまざまなトラブルが発生する原因となっています。「Photoshopの動作の重いイライラ」や、「ファイルサイズが大きすぎてUSBやメール入稿ができない」といったことや「TIFFデータを書き出せない」原因の多くは高すぎる解像度にあります。そして美しくプリントする秘訣もココに隠されています。では解説していきます。

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そもそも解像度とは?

まず、よく解像度の設定で見かけるdpiもしくはppiとはなんでしょうか?このdpiもしくはppiは英語で書くと”dot per inch”または”pixel per inch”となり、頭文字を取ってdpi(ppi)となります。訳すと1インチあたり何ドット(ピクセル)あるかを示しています。

仮に100dpiは1インチあたり100個の点があるということになり、300dpiは100dpiより点の数が多くなり、キメ細かい画像ということになります。言葉だけでは伝わりにくいので、わかりやすいように図解にしてみました。
original
※図解の正方形は1インチと仮定しています。

元画像を左から2dpi、4dpi、8dpi、72dpi、300dpiで表現してみました。

2dpi < 4dpi < 8dpi < 72dpi = 300dpi

低解像度になればなるほど点(四角)の数が少なく、2dpiに至ってはもはや原型の線ではなく単なる格子に見えます。つまり高解像度の方が美しい(※美しいというのは原画に近いという意味です)わけです。しかし数が大きければ大きい方が良いのでしょうか?図を見ていただければ一目瞭然ですが、300dpiと72dpiは同じに見えます。つまり、ある一定の解像度を超えると数字は意味がなくなり、今回の場合72dpiと300dpiが異なる解像度でも結果は同じに見えるのです。

では72dpiでプリントデータを作成すれば良いのでしょうか?実はそう簡単な話ではないのです。現在表示されているものはあくまでもディスプレイであり、適切な解像度とは表示や印刷されるものによって異なってくるのです。今回、72dpiも300dpiも同じ様に見えるのはそれは画面を通して表示されているからになります。

実際におすすめの解像度は?

一般的にフルカラーの印刷物は300~350dpiで作ると教わることが多い様ですがそれは誤った認識になります。先にも書きましたが解像度は出力媒体や印刷方法によって変わってきます。それでは希望の媒体の適切な解像度の調べ方はどのようなものでしょうか。

実は適切な解像度を具体的に調べる方法はないのですが、解像度の多くはプリントしたい媒体の表面の形状で決まることがほとんどです。しかしこれを素人が適切に判断するのは非常に難しく「つるつるしていれば高解像度。ざらざらしていれば低解像度」と覚えておくとよいでしょう。先に書いたフルカラーの印刷物は300~350dpiというのはあくまで紙への印刷条件であり、布への印刷の解像度はまた異なってきます。coromozaではファイルサイズとの兼ね合いから布への印刷は150dpiをお勧めしています。つまり布への印刷は先ほどの図解の72dpiでは不足で、300dpiだと大きすぎるということになります。

高すぎる解像度の何が問題なのか?

しかし「高すぎる解像度の何が問題なの?」「仕上がりが同じであれば解像度はより高い方が安全でよいのでは?」こう思われる方もいらっしゃると思います。この考え自体は非常に理解できるのですが、実はこれが一番のトラブルの原因となるのです。高解像度のデータは容量が大きく、たとえば同じ印刷サイズで150dpiと300dpiの画像があった場合、300dpiの画像は150dpiの4倍もファイル容量になるのです。

布プリントはそもそも印刷サイズが大きくなりがちで、150dpiの画像でも300MBくらいのファイル容量なることが多いのです。仮に同じ画像を300dpiで作成していたとすると容量は1.2GBととてつもなく大きなファイルサイズになってしまうのです。そのため布への印刷の入稿では150dpiを推奨しています。また制作するサイズを制限させていただいています。

横幅いっぱいに布へ印刷するにはどの様なデータが必要?

布プリントの解像度が150dpiがおすすめというのはお伝えしましたが、では実際のデータ作成においてどのようなデータを用意すれば良いでしょうか?先に上げたおすすめの150dpiで1辺1mのプリントデータを作成するとします。

1インチは約2.54cmなので1m÷2.54cmで約39.4インチとなります。1インチあたり150ドット必要なので、1辺に必要なドット数はは39.4インチ×150dpi=5910ドットとなります。仮に200dpiで作成したいとなると、7880ドット、300dpiなら11820ドットになります。

しかし実際にはPhotoshopなどでデータを作成する際にはドット数を気にする必要はありません。希望の長さ(cmやmmなど)と解像度(150dpi)の入力を行えば自動的に計算して入力してくれます。

蛇足ですが

ネットから拾ってきたデータを大きくプリントしたいという方がいらっしゃいます。たしかに画面で見れば綺麗なのですが、ネットの画像はせいぜいあっても1000ドット程度。つまり、150dpiで印刷するとなると1辺が16cm程度にしかなりません。(ちなみにネットから画像を拝借した場合、著作権の権利処理が必要となる場合があります。弊社では著作物侵害に当たるデータの場合は著作者からの許諾を持ってプリントをさせていただいています。)

仮に1000ドットを1m幅でプリントしたとすると、25.3dpiとなり、とんでもなく低い解像度のプリントに仕上がるのです。ちなみにインチで書くとわかりにくいですが、23.5dpiは肉眼で1mm四方のドットが確認できるほど1ドットが大きいのです。

しかし制作したいものの素材がどうしても低解像度のものしか用意できないこともあるでしょう。そこで高解像度にしたいという話もよく聞きます。次の章からは低解像度の画像を高解像度への変換を試みてみたいと思います。

低い解像度を高解像度に変換する方法

では解像度が低い画像を高解像度にしたい場合どうしたらよいのでしょうか?いくつかの対応法があることはあるのですが、そこまでメリットを見いだせないのが現状です。とはいえ、解像度を理解するためにも紹介した方が良いと思うのでいくつかの方法を紹介しておきます。

ドットを小さくして解像度を上げる

仮に2dpiを4dpiや8dpiに変換するとどうなるのでしょうか?これも図解を用意しました。
small

いかがでしょうか。画像のサイズが小さくなりました。解像度は「1インチあたり何ドット(ピクセル)あるか」を示すものなので、画像のサイズを小さくすることで解像度を上げることが出来るのです。2dpiから4dpiの変換で例えるなら、「1インチあたり2ドットあったものを、0.5インチあたり2ドットものに変換」することで、4dpiとしているわけです。

つまり低解像度を高解像度にするには画像サイズを小さくするというのが1つの方法です。しかし、「サイズは小さくしたくない!」そんな人のために実はもうひとつ解像度を高める方法が存在します。

ドットを分割して解像度を上げる

なんと!こちらはサイズが変わりません!!ちょっと夢のようですが実はデメリットもあるんです。また例の図解にて説明しようと思います。先ほどと同様に、2dpiを4dpiと8dpiの画像に変換しています。

separate

この方法は1ドットを分割する方法です。2dpiを4dpiにする場合、各ドットを2分割にすることで4dpiへと変換するのです。しかし図を見ていただければわかると思いますが画像は何一つ変わっていません。つまりドットを分割して解像度を上げたところで、印刷される画像は何も変わらないのです。ただしファイル容量だけは増えているのが残念なところです。

奥の手のPhotoshop

「なんとか美しい画像にしたい」そんな要望のために奥の手というのが存在します。それはPhotoshopでシュミレーションをして変換するというものです。これを使えば、擬似的に解像度を上げることが可能になります。(実を言うとPhotoshopではこのバイリニア法がデフォルトになっています。)

こちらも図解を用意しました。
bilinear

いかがですか?最初のものに比べると明らかに滑らかになりましたね。しかし、疑問が残る結果にもなっていると思います。元画像と比較すると、全く違う画像になっています。「それだと困る」そんな話もありますが、これが現実なのです。ただし、分割して変換した場合よりも、Photoshopのバイリニア法で変換した場合、滑らかになることが多いのでやらないよりはやった方がいいとも言えます。

ただしこの方法は、「ファイルサイズが極端に重くなってしまう」、「解像度は高くなるが元の画像にようになるわけではない」ということを覚えておいていただきたいです。そして無理に小さな解像度の画像を、高解像度に変換する必要性はないとも言えます。(こちらは個人の好みの範囲だと思います。)

つまるところ、低解像度の画像を使うのではなく、元から高解像度のものを用意しましょうということになります。

あらためて高解像度過ぎることへの問題

先にも書きましたが解像度が高くなることは同時にファイルサイズも大きくなるのです。2dpiと4dpiの画像では4倍ものファイルサイズに違いになり、2dpiと8dpiであれば16倍にも膨れ上がってしまいます。もちろん高解像度なものは間違いなく綺麗にプリントは出来ます。しかしファイルサイズが大きくなり、保存時間が延びたり、画像処理時間が非常にかかってしまうこともあり、作業負担を軽くするために適正な解像度で作業を進めるのがおすすめしています。またファイルサイズが大きすぎるためTIFFへの書き出しエラーにもつながることもあります。

布プリントのための解像度のまとめ

と、ここまで難しくいろんな解像度の話をしてきましたが、以下がまとめになります。

    • 画像解像度を低いものを高くしても意味がない。
    • 低解像度の画像を使うのではなく、元から高解像度のものを用意しよう!
  • 作業をスムーズに進めるために適正な解像度で。
  • 生地へのプリントにおすすめなのは150dpi以上200dpi以下。
  • 生地幅1mならば5910ドット以上で制作する。

誰でにもわかりやすくするために、いろいろと簡略化して書いてある部分もありますが、もし間違いを発見しましたらご連絡下さい。

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